鳥取高女時代の毛筆作文
土井淑平
尾崎翠の鳥取高等女学校(以下、鳥取高女)時代の毛筆作文が見つ
かり、12月3日に鳥取県政記者クラブで記者発表しました。「ジェームス、
ワットの傳」と題するこの毛筆作文は、現在保存されている尾崎翠執筆
の文章としてはもっとも古いものです。
尾崎翠は一九〇九年(明治42)四月から一九一三年(大正2)三月まで、
鳥取高女の本科で学び、本科卒業後は補習科に進み、翌一九一四年(
大正3)から一九一七年(大正6)まで大岩尋常小学校で代用教員を勤め
ました。
新しく発見された資料「ジェームス、ワットの傳」は、鳥取高女の本科第
四学年に在学中に執筆したもので、尾崎翠全集に収録されている初期
の詩歌・小品が一九一四年(大正3)以降のものであることを考えると、尾
崎翠最古の資料といえます。
この新資料は鳥取市気高町在住の田中長利氏(鳥取市社会福祉協議会
理事、気高町社会福祉協議会会長)より提供を受けました。田中氏は遠
縁に当たる鳥取高女の技芸科の先生だった山根春野氏(故人)より、この
尾崎翠の作文の原本を他の生徒の作文と一緒に預かり、大切に保管され
ていたものです。
山根春野氏は一九〇二年(明治35)三月、第一回池田賞を受賞して鳥取
高女を卒業した才媛で、女子高等師範学校の技芸科で学んだあと、一九
〇六年(明治39)から母校の鳥取高女に帰って技芸(家事)を教えていまし
た。
一八世紀初めにニューコメンが発明した蒸気力によるポンプの原理を改
良したワットの蒸気機関は、当時の紡績機や織機の動力に利用されてイ
ギリスの産業革命を主導しました。新資料「ジェームス、ワットの傳」は、の
ちにモダニズムの作家となる若き尾崎翠が近代技術の誕生に寄せ
て書いた興味深い一文です。
「ジェームス、ワットの傳」は一二月一〇日刊行予定の『尾崎翠フォーラム
・in・鳥取2008報告集』に関連写真とともに全文掲載しました。毛筆原文をご
覧になりたい方は報告集をお求め下さい。
「ジェームス、ワットの傳」を掲載する『尾崎翠フォーラム・in・鳥取2008報告
集』には、尾崎翠の毛筆作文を保存していた山根春野氏(故人)の写真=鳥
取敬愛高校提供=、並びに、尾崎翠の同窓会とおぼしき写真=翠の親族・
早川洋子氏提供=も掲載しています。
このうち、尾崎翠の同窓会とおぼしき写真は、これまた未公開の新資料の
一つです。鳥取高女の同窓会のときのものと思われますが、はっきりしたこ
とは分かっていません。この機会に、当時の同窓生や先生の関係者あるい
は親族の皆様から情報をいただいて、この写真の背景を特定できたらと考
え、早川氏の了解を得て公開しました。
(お問い合せ先)
※
『尾崎翠フォーラム・in・鳥取2008報告集』は12月10
日
に刊行します。報告集の問合せと注文は以下まで。
尾崎翠フォーラム実行委員会
〒680−0851 鳥取市大杙26 土井淑平気付
(TEL・FAX) 0857−27−7369
(Eメール) manager@osaki-midori.gr.jp
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